ベータ・エンドルフィン
- β-エンドルフィンの発見
Tibetan Medical Tanka
1975年にイギリス人のJohn Hughes博士がブタの脳よりエンケファリン(脳内麻薬の一種)を発見して以来現在までに一番強力(モルヒネの6.5倍)なβ・エンドルフィンを含む約20種類の脳内麻薬が発見されています。
これらは脳の中でどのように作用しているのか、まずA10神経が脳の中を走っていて、このA10神経が活性化されると脳の中にドーパミンと言われる脳内ホルモンが分泌されます。このことにより人間は快感を感じ、気分がよくなると同時に脳全体の働きを順調にする。(快感作用と覚醒作用)しかしドーパミンは快感を生むが過剰に分泌されると精神分裂病になるおそれがある。そこで、A10神経とドーパミンの快感・覚醒システムを抑制するのが、ギャバ神経であり、またこの抑制神経であるギャバ神経の働きを抑制するのがβーエンドルフィンなどの脳内麻薬である。これは、βーエンドルフィンなどの脳内麻薬の働きにより、少量のドーパミンの分泌だけで有効で安全な快感・覚醒作用が得られるということなのです。
- β-エンドルフィンとは
脳内麻薬のことであり、モルヒネの6.5倍の鎮痛作用があります。それは脳を活性化し、精神的ストレスの解消に効果があり、免疫細胞の防御反応を強化する作用もあります。鍼を身体に刺すことにより血液中のベ-タ・エンドルフィンの量が上昇するといわれています。このように鍼は鎮痛作用だけではなく、精神活動にも影響のあるベ-タ・エンドルフィンを増加させる効果があります。なお鍼麻酔はこの鎮痛作用を利用したものです。
- β-エンドルフィンの効果
Tibet Potara Palace
人間は怒ったりストレスを感じたりすると、脳からアドレナリンという物質が分泌されます。また恐怖を感じる時にはノルアドレナリンが分泌されます。これらは毒性のきつい物質で、これが出やすい人は、老化しやすく、自己免疫力が低下し病気になりやすく、自己治癒力も低下するのです。
これに対してベータ・エンドルフィンは気持ちいい、楽しいと感じたときや達成感が得られた時に分泌されやすく、免疫力を強化し、老化を防ぎ、自己治癒力を高める作用があるのです。修行僧が滝に打たれたり、座禅を組んだり、荒行をしたり、またヨーガの行者や道教の道士が修行や鍛錬をすることにより、このβーエンドルフィンを出しているのです。
瞑想や気功・太極拳をするとα波が出てリラクゼーションになるといわれますが、このときにもベータ・エンドルフィンが出ているのです。彼らは覚醒、悟りに至るために脳内モルヒネを出して、いつも健康で、楽しく、長生きし、欲望に振り回されないのです。
気とは
気という漢字の意味は雲の流れる様を表しています。雨が降ったり風が吹いたりするのも、自然界の気のエネルギーによる現象だと考えられました。(天気)このように目には見えない大きなエネルギーが存在し、私たちはその自然界の清気を体内に取り入れ、さらに体内で気を生成し、生命活動を維持しているのです。中医学の基礎である黄帝内経の《素問・宝命全形論》には ”人以天地之気生、四時之法成”、”天地合気、命之曰人”と書かれ、人は天と地の気が合わさって出来た自然界の産物であり、気は人体をつくる基本的な物質であると説かれています。また、《医門法律》には”気聚則形成、気散則形亡”とあり、人は気が集まって形成され、気が散じると亡くなると説かれています。気は生命のエネルギーであり魂のような物で、絶え間なく身体のすみずみまで流動し、血液の流れを推し進め、臓器や組織を順調に働かせるのです。そしてまた気の流れが滞り、気の力が低下すると、元気がない、やる気がない、気が滅入る、気が重いなどの状態になり、ついには病気(気が病む)になるのです。